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アコンポン村〜誇り高きマルーンの子孫たち〜
text:Sachica (Sachica Inna Jamaica)
r3.png キングストンからドライブすること約2時間。山奥にたたずむアコンポン(Accompong)村は、かつてジャマイカがスペインやイギリスの植民地だった時代に、農園から脱走したマルーン(逃亡奴隷)によってつくられた村のひとつである。マルーンはイギリス軍に真っ向から立ち向かい、彼らを悩ませた挙げ句、平和協定の締結に成功した。以来、彼らは自治権を持っており、ジャマイカにありながらジャマイカの法制度は適応されない。例えば、この土地はアコンポン・マルーンのものであり、彼らはジャマイカ政府に対して税金を納める義務がないのである。
村では毎年1月6日、平和協定の締結と当時のリーダーであったクジョ(Cudjoe)を讃えるお祭りが開かれる。平和協定の締結が1738年であったから、今年で271周年を迎えるお祭りに今回訪れた。

お祭りのメインの儀式は、"Kindah"と呼ばれる場所でのドラム、ダンス、そしてご馳走の振る舞いである。アフリカの言葉である"Kindah"とは、「ひとつの家族」という意味であり、ここはクジョとその仲間が最初に住みついた場所だ。マルーンの間では、彼らがゲリラ戦の作戦会議を行った場所でもあると言い継がれており、今やちょっとした聖地と化している。

儀式が始まると、単調なドラミングに合わせて歌って踊るマルーンたち。清め酒としてラムを振りまきながら歌って踊る。踊るといってもステップを踏む程度であり、音楽を楽しむというよりは、「先祖を讃える」というような宗教的意味合いの方が大きいようだ。彼らの奏でるドラミングこそが、クミナ、スカ、そしてレゲエに至るまでのジャマイカ音楽の根底にあるといっても過言ではないだろう。

儀式の途中で振る舞われるご馳走は、調味料を一切使わずに調理された(ブツ切りで蒸し焼きにされた)豚肉とヤム芋である。一見グロテスクな豚肉だが、口にしてみると普通の豚肉。ただ、せめて塩が欲しいところ。また、取って付けたような言い伝えだが、この豚肉を食べることで一年の無病息災が叶うという。

マルーンの子孫たちは何かと特別視されているが、一見、彼らの性質や日常生活は一般のジャマイカ人と何も変わりない。人種は大多数のジャマイカ人と同じく西アフリカ系であり、宗教もキリスト教徒である場合が多い。村の様子もごくごく一般的で、手入れのされた家々、教会、小・中学校、図書館、バー等が建ち並んでおり、どこにでもある風景だ。ただ、彼らは、彼らの先祖の輝かしい功績がジャマイカ史に刻まれているという点に関して大変誇り高い。そしてその功績を維持すべく、コロネル(Colonel)と呼ばれる族長を置き、族長制のもと、今も自治に務めている。マルーン村はジャマイカの観光名所でもあるので、ジャマイカ政府も村の文化保護と観光開発には前向きだ。政府の助けも借りつつ、この輝かしい歴史が後世に語り継がれていくことを期待したい。

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■Sachica プロフィール

2007年3月からジャマイカに滞在。
レゲエはもちろん、社会問題や歴史にも興味深々。




2009.02.03:R.CUBE
関連リンク
 
【参考】
  • “Accompong Town Maroons celebrate 271 years of freedom,” The Dairy Observer, January 8, 2009.
遠藤泰生、木村秀雄編、『クレオールのかたち:カリブ地域文化研究』、東京大学出版会、2002。
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