■自己紹介 ~ロンドンで結成DIRECT IMPACT~
僕らは「DIRECT IMPACT」というレゲエ・クルーで、ロンドンでの結成から18年目になります。レーベルとしての活動も行っており、昨年2010年に2枚のアルバムをリリース、合計9枚のアルバム+アナログ・シングルなどを発表しています。ロンドンでは、レコード屋も経営。主にルーツ&カルチャーを軸にしながら、様々な音楽の要素を取り入れた音作りをしており、ライブに関しては、時にターンテーブル1台、バージョン(レコードのB面)に乗せて歌ったり、エフェクトをかましたり、かなり特殊なスタイルで毎週末どこかでライブを行っています。
そしてやはりベース・タウンである、イギリス「UKレゲエ」は得意なジャンルであり、結成からずっと国内外に発信してきたレゲエのジャンルでもあります。中でも、UKではダンスホールと同じく人気の「ルーツ&ラバーズ・レゲエ」は、1番得意なルーティン。UKでは、ジャマイカでの流行りはほぼオンタイムで町中に溢れているのですが、それと同時に、ヒットチャートや現場をにぎわすのが「ルーツ&ラバーズ」(70年代のものから最新のものまで)。現場では、びっくりするくらい良い時間にルーツ・レゲエが流れます!
コラムのパート1ではこの意外!?な「ルーツ&ラバーズ」のお父さんお母さん的なダンスホールを支える関係性と存在について具体的に触れてみました。あくまでも僕たちなりに感じるUKのレゲエシーン(特にジャマイカンの多いコミュニティーでの話)の特徴のお話ですが。
▲Direct Impact in LONDON
▲オーナー兼Direct Impactの大ボスWayne
■UK、ジャマイカ、日本。世界のレゲエ事情
では、今回のコラムPT2では、その更なる背景「大英帝国とジャマイアン・カルチャー」に触れて行きながら、その島を離れた近隣諸国でのレゲエ・ミュージックの現状、そして、わが国ジャパニーズ・レゲエの世界的な現状にまで触れて行きます。
■イギリス人にとってのジャマイカは?
まず、「イギリス人にとってのジャマイカは?」。あくまでも僕の感覚的な話で進めさせていただくと、ジャマイカン&ヨーロッパ人(イギリス人含め)の夫婦がとても多いです。また、ストリート事情に詳しい人であればどこ出身であれ、多少のパトワ(ジャマイカン・イングリッシュ)が通じる!
*例)NUFF - 沢山の意味。IRIE - 調子いいの意味。などが、通じる事が多いのです!
スーパーマーケットでは相当高級な地域以外は日本で中華食材が並んでるように、ジャマイカの野菜の缶詰、スパイスなどが普通に並んでます。ギャル系の服屋でも平気で70s'レゲエやスキンヘッズ・レゲエなどが爆音でかかり(意外にもダンスホールは少なめ)、PUB(大衆居酒屋)ではスピーカーを持ち込んでのダンスなどよくある話。しかも、どこでも爆音です。
もう少し話を国全体に広げてみると、歴代のイギリス出身のPOP系ミュージシャンがレゲエの曲を演奏したり、Levi'sジーンズのCMソングがPRINCE BUSTERだったり等、メディアへマニアックなレゲエが普通に進出しています(特に80~90年代のレゲエ)。日本ではあり得ませんよね!
TVでも「ラスタ特集」(音楽番組でなくでライフスタイルのドキュメント)などもありました。ちなみに僕は過去2回、世界のラスタ討論会のようなBBC国営放送に出演した事もあります。それらはケーブルTVでなく普通の民放です。
▼イギリス国営放送「BBC Rasta History 2003 March」 Direct Impact出演(一部音源)
2000年に入ってからは少し情報が疎いのでなんともいえませんが、基本はそういったことが普通に日常に絡んでいる国。それがイギリスです。
▲有名な8月の最終の週末に行われるノッティング・ヒルカーニバル(Photo by COZI)
▲有名な8月の最終の週末に行われるノッティング・ヒルカーニバル(Photo by COZI)
▲ファッション・レーベルのレコードやDUBVENDORS。今はカリビアンレストランに変わりました(Photo by COZI)
■イギリス(UK)でのレゲエ ~新たなジャンルに進化し、世界へ発信~
音楽の話で言えば、やはりどのジャンルにおいても、USに比べてレゲエの影響がもろにある音楽ジャンルが多い。また、レゲエをあえてやってるバンドが多いなど、レゲエ濃度が確実に濃い!UKは昔から新種のダンス・ミュージックが次々と生まれては世界的に影響を及ぼして来ていますが、レゲエが根底になっているものが多いです。具体的には、まず「JUNGLE」「Drum & Bass」。これはモロですね。そして、90年後半の「2 STEP」「Broken Beats」、そしていまや世界的ムーブメントになっている「DUB STEP」。どれも『ベースカルチャー』な重低音重視に、ラガな風味がエッセンス的に乗っかっている。そんな共通の特徴を持っているように思います。逆に言うと、今、ジャマイカでは少なくなっているラガ感(重低音ギャング文化)が、イギリスでは盛んなような気さえします。
あえて最初に触れませんでしたが、単純にジャマイカがかつてイギリス植民地であった事だけが、理由ではないような気がします(1962年に独立)。当然その理由は大きいながらも、ヨーロッパ人は歴史を重んじ、他国の文化に割と寛容なところも影響していると思います。
USとは明らかにレゲエの存在の仕方が違います。カナダはUKに近いところがあるようですが、UKのように、レゲエの進化系のジャンルが次々と生まれ発信されてる事は無いでしょう。
■UK周辺、EU諸国の様子。フランス、ドイツ、オランダ…
イギリスではジャマイカンが多いという理由もありますが、その歴史に敬意を払いながらもジャンルとして進化し、再び世界へと広がっています。そんなジャマイカを離れたレゲエですが、UK近隣のEU諸国ではどうでしょうか?
UKに遅れながらも、ノン・ジャマイカン・レゲエ(国産レゲエ)は広がっています。フランス、ドイツ、オランダでは、EC諸国で認知されながら、ジャマイカでの人気も得ているアーティストがいます。
今後、さらにEU諸国では、ノン・ジャマイカンというアドバンテージを自分達のアイデンティティーとしてうまく活かし、レゲエは発展していくと思われます。実際、ヨーロッパでは、どの国でもレゲエが存在しています(しかもルーツ・レゲエ系が多い)。ここ数年は、アジア、中国、東南アジアでもレゲエ・アーティストが増えており、それらはビックリするくらいルーツ系が多い。
▲ドイツ公演でのイベントポスター(Direct Impact 出演)
■さて、世界の中の「レゲエ大国日本」。EUのように、世界へ発信されているか?
そのアジアの中でも圧倒的なレゲエ大国「日本」はどうでしょうか?大国らしく、EUのように、ジャマイカで人気を得ながら、世界的な音楽として評価されてるのでしょうか?UKのように、世界へ発信できているでしょうか?
どうでしょう?ジャパニーズ・レゲエとしては歴史がある割りに「・・・?」な感じがしませんか?日本でのヒットと、世界的な認知度が反比例な事も多いと思います(=世界的な音楽観とのズレがあるせいでしょうか?)。
われわれジャパニーズ・レゲエ・ミュージシャンの世界的な成功のキーはやはり、UK(及び、EU)にあるように感じます。コラムPT.1で触れた「世界で流行を築き上げている、ダンスホール文化のその根底にあるもの」が鍵になる気がします。
それは「言葉の壁」もある、「文化」も西洋とは違う。けど、人間の心を揺らす「音とメロディ」に国境はないはず!他国の成功を例にしながら、具体的に日本人で世界で活躍している事例についても触れて行きましょう。やはりEUのアーティストでジャマイカでも人気なアーティストは、まず『パトワがいける』アーティストが多いです。こればかりは当然な事で、ダンスホール文化はパトワが重要なので、上手いアーティストは当然ジャマイカでも通用します。しかし、ここがポイント。EUのパトワのうまいアーティストは、ルーツでも、ラブ・ソング(ラバーズ)でもヒットを軽く飛ばします(=歌ものメロディもいけるのです)。
■世界のレゲエシーンで活躍するジャパニーズ・アーティスト
さてどうでしょう?ジャパニーズ・レゲエは?
実際、国境を越えやすいインスト・バンドは除いて、ここ近年海外で認知されている国内のアーティストは、まずは、大阪の老舗ルーツ・クルーJAH WORKS。彼らがプロデュースするRankin Pumpkinは、ヨーロッパやアジアでも人気のようです。また、京都のSHANDI-Iは、RED BULL主催の音楽学校「Red Bull Music Academy」で、UK ROOTS界の重臣ABASHANTI-Iの紹介により、SHANDI-Iのシングルが世界的に話題を呼んだ。われらがDIRECT IMPACTも、US、MAJOR LAZER(ハウスで有名なユニットのレゲエ・ユニット)のREMIXをしたり、海外コンピに参加、iTunesでの世界的なセールスの記録等があります。また、Sister Kaya、Pushim、MACHACOなどの王道女性シンガーに関しては、いつの時代も安定して海外受けがいい様子です。
僕らの情報不足もあると思いますが、純レゲエではやはり「ルーツ&ラバーズ」系が人気なようです。歌もののメロディーは、言葉の壁を越えるのでしょう!
▲DirectImpact Prosperity, shandi-i 12"
■UKレゲエシーン、今とこれから。
再び舞台はUKに戻って、ここ最近のUKでのヒットを(前回触れたように、メディアの衰退によって、きちっとしたチャートらしきものはなくなった)見ると、UKアーティストでジャマイカのダンスホールと並んで人気のあるものは、日本でも徐々に人気の出てきたGAPPY RANKSらによるルーツ&ファンデーション系のカルチャーソングが多い。
UKバッシュメント・リディムもあるのだが、やはりジャマイカ物にはかなわない。…が、逆にカルチャー系は全く負けてはいない。それは2011年今も、僕らの結成当時の約20年前も変わらない。
■世界に羽ばたいて欲しい、ジャパニーズレゲエ。
さてまた戻って、日本国内。今までにないくらいの盛り上がりのある「レゲエ・シーン」。しかしアーティストによっては更なる先に、頭を抱えている人も少なく無いはず。ダンスホール文化を自分達なりに消化した形での「ジャパニーズ・レゲエ」の発展は素晴らしいものだろう。しかし、どうせならUKレゲエ等のように、世界へ発信して行きたいところですよね。
■UKレゲエのカタチが、これからのヒントに ~国境を越える「音」~
であれば、今一度、この国境を超えられる「音」を、突詰めてみてもいい時期が来てるのかもしれません。それは、国境を越えるメロディーや、そのための意識の改革も必要かもしれません。大英帝国に根付いた30年以上変わらないUKレゲエの形が、今ここに来て、世界中のレゲエのモデルになるように思えて仕方がないです。
普遍のメッセージ、「愛と平和」「父と母」「ルーツ&ラバーズ」をいつの時代もきちっと唱えながら、流行の音もしっかり表現していくUKの音楽観。まさに家族のような、レゲエからダンスホールの親子関係基本であるべき形を、もう一度見直しても良い時期なのではないでしょうか。それは祖国ジャマイカでも、改めて見つめなおされてれて来ているように思えます。
■これからのレゲエ、キーワードは「歴史への敬意」
2011年今、世界中のレゲエ・インダストリー(レゲエ音楽業界)のキーワードは『歴史への敬意』かもしれない。
【追記】
本コラムは、3月中旬公開予定で進めていたのですが、その直前に東日本大震災が発生しました。改めて今後のレゲエ、音楽、生活のあり方を真剣に見直すターニングポイントが今なのかも知れません。
今回の震災で亡くなられた多くの方々にご冥福をお祈り申し上げると共に、被害を受けられた方々、被災者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
■DIRECT IMPACT イベント情報
THINK TWICEニッポン -にほんの未来を考える夜-
JAHVANEEZEと東北の仲間たちの原発の話。
2011.5.2(月)祝日前 21:00 - 5:00
at Club Cactus(東京・乃木坂)
ADM : 500yen
[GUEST SOUNDS] From福島
RAS TAKUO / ONE ROOTS
[Powerful Selection]
RANKIN TAXI / MOO FIRE / MR.STEADY (DirectImpact)
Dr Production sound Jamaica
... More Warriors
6月末開催予定(東京、大阪、横浜)
- JAH WORKS, UNITY SOUND, DIRECTIMPACT -
「MORE STRENGTH」Strictry Positive Culture Reggae Tour
■DIRECT IMPACT Profile
Leo/Jahvaneeze(MC & MIX)、Steady(DJ & Selecter)
1993年、ロンドンにて「DIRECT IMPACT」結成。当時のメンバーはWayne、Clive、Mark、Ricoに唯一日本人のLeoの5人でロンドン他、ヨーロッパ で活動。95、6年にLeoが帰国。日本でも同じ名前で活動を広げようと「DIRECT IMPACT JAHPAN」を結成。メンバーは現在セレクター&デザイナーのSteady他数名と、日本を中心に全国の大小含めたダンスで新しいスタイルのRoots Soundを浸透させる。
2000年ごろからシンガーが加入。サウンドシステム&ライブのスタイルで、数々の海外アーティストともショーをこなす(Horace Andy、Ranking Joe、Al Campbell、Trinity、Tony Curtis、Jigsy King、Stone Love、Determin、Aba Shanti I、Mad Proffesor、Earl16、Zion Train、Iration Steppas…)。
2005年には、Horace Andy、Ranking Joeとの全国ツアーを大盛況に納め、翌年にはAl Campbell、U Brownとも全国ツアーを行い、確実にジャマイカの大御所アーティストからも熱い支持を得る。いまやNew Roots Generation代表として、全国のRoots Danceには必ず出演し、熱いステージを披露している。海外メディアからの注目も高く、日本人初の英国BBC放送にて、ラスタ・アーティストとして番組2つに出演したこともある。
2010年、結成17年!を迎えた彼ら。
最近では、2008年、ジャパニーズ・レゲエ界のトップ・アーティストが一堂に集ったプロジェクト&レーベル「拳POWA」/V.A.(Overheat)にもルーツ・スタイルで参加!2009年には、ロッカーズ・アイランドが主催のレーベルよりリリースの5人のプロデューサー・コンピレーション「Riddim Island」/V.A(Koyashi Haikyu)にもアーティスとして参加している(共にJAHVANEEZE名義)。
2009年、オリジナル・アルバム「Keep Dub Like It Is」も、スイス、イギリスで話題を呼んだ(発売10日で完売)。その後、ラバーズ&R&B;アルバム「Love T.K.O」を発売(発売2ヶ月で初回プレス完売)。その続編として、2010年4月「Prosperity」をリリース。同年9月、ダブアルバム「DUB Prosperity」をリリース。US MajorLazerのあの曲もダブワイズに!
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Direct Impact ブログ
■ROCKERS ISLAND:Direct Impact 作品ご購入ページ
■monstar.fm:Direct Impact
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My Space:Direct Impact
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My Space:Direct Impact「LOVE T.K.O」
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YouTube:DIRECT IMPACT (
Riddim Island 大阪リリース・パーティー [JAHMALI420] )
2011.04.23:R.CUBE